top of page
IMG_1104 (2).JPG

現在行なっている研究

g902.png

概潮汐リズムの獲得による汽水適応の実証

生物は進化の歴史のなかで自律的に時間をはかる機能(体内時計)を獲得しました。行動や生理機能を環境と同調させることは、生物が高いパフォーマンスを発揮するために重要です。そのため、従来の分布域と異なる環境サイクルがある場所へ進出するには、その環境に適した新たな内在リズムをもつ必要があります。

私は異質な環境サイクルへの適応を実証するために、河川の下流域に着目しました。河川の下流域は、日周サイクルに加えて潮汐のサイクルが存在する感潮域になります。ここでは、概日リズムに加えて、潮汐に同調したリズム(概潮汐リズム)をもつことが適応的になると考えられます。私は、河川性巻貝のチリメンカワニナを用いて、概潮汐リズムの獲得による感潮域への適応を実証しようとしています(Yokomizo and Takahashi, 2022)。

path2031.png

概潮汐時計遺伝子の探索と潮汐適応の分子機構の解明

これまでに概日時計を構成する時計遺伝子は多くが同定され、分子生物学的手法の発展とともに概日リズム研究は大きく前進しました。分子機構や生理機構の解明により、医療や栄養学、スポーツ科学などさまざまな分野で体内時計との関連が議論されるようになりました。一方で、概潮汐リズムの基盤となる遺伝子はほとんど明らかになっていません。概潮汐リズムは海洋や干潟などの潮汐環境に進出した幅広い生物種で確認されています。概潮汐リズムの基盤となる遺伝子を発見することで、分子機構や生理機構の解明だけでなく、潮汐適応のメカニズムを遺伝子レベルでとらえることができます。生物の時計システムの進化を議論するうえで、概潮汐時計遺伝子の探索は大きな課題であると考えています。

text1778-3-9.png

​これまでの研究

g902.png

トランスクリプトーム解析による塩水応答機構の探索

淡水巻貝における汽水域への進出には塩水への適応を遂げることが必要です。私はチリメンカワニナの淡水域集団の塩水耐性が塩水曝露によって可塑的に高まることを示しました。また、トランスクリプトーム解析によって塩水応答に関わる候補遺伝子群を発見しました。本研究は塩水適応における可塑性の重要性と分子レベルの動態を明らかにしたものです(Yokomizo and Takahashi, 2020)。

path1132-2-3-5.png
bottom of page